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学校教育支援活動 |
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不登校・引きこもりと音楽療法 |
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小中学校の不登校児は年間14万人、高校中退者は年間12万人、そして、障害者と健常者の間にある所謂「グレーゾーン」の数も相当数に上ると言われております。また、外国籍市民の不登校、引きこもりも、正確な統計はありませんが、相当数いると言われております。
不登校の治療方法の一つとして、音楽療法がとても有効であると言われております。
この音楽療法の第一人者で、日本に初めて持ち込まれた頃の草分け的存在である東邦音楽大学の堀越清教授より、この度、音楽療法に関する寄稿をいただくことになりました。
ご本人がこの音楽療法と関わるきっかけとなった、ある自閉症児との出会いについて、連載でご紹介いたします。
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堀越清氏 |
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<プロフィール>
東京大学教育部教育心理学科卒業、同大学院修士課程修了。東邦音楽大学教授並びに東邦音楽短期大学講師を経、東京大学医学部付属病院分院小児科心理臨床担当。東京都社会事業学校講師。臨床心理士、発達臨床心理学、音楽療法研究。全日本音楽療法連盟認定音楽療法士。 |
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掲載予定 |
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タイトル:音楽による治療的アプローチへの道をある自閉症児達と共に歩む
○プロローグ:出発点 |
○第1回: |
前半の4年:戸惑いと模索の旅 |
○第2回: |
後半の4年:音楽の導入 就学成立 5年間の別離 |
○第3回: |
5年後の再会。来談者中心的療法の原点に戻った!
そうして音楽療法の旅へ |
○第4回: |
その後の事例中のある一例について |
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東邦音楽大学学園祭 |
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先日、堀越氏が音楽療法の講義をおこなっておられる東邦音楽大学の学園祭の後夜祭に行って参りました。
学生によるアカペラグループ、ビックバンド、そして、ラテン・パーカッションバンドなど、皆さんのびのびと素晴らしい合唱、演奏を披露。 |
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東邦音楽大学後夜祭
2004.4.30 |
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掲載内容 |
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「音楽による治療的アプローチへの道をある自閉症児達と共に歩む」 |
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東邦音楽大学教授 堀越清 |
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○プロローグ:出発点
それは音楽を通しての自分探しと他者探しへの出会いの旅、クライエント中心的療法から出て再びクライエント中心的療法に立ち戻った!
1.出発点
筆者は昭和30年代の前半、東京大学教育学部で開設された教育相談室(それはほぼ同時期に開設の京都大学、神戸大学の相談室等と共に、今日の日本の心理臨床活動発展の契機ともなった)で学んだ。それまでは心理学は実験室で白ネズミ等の動物(時には人間をも)を対象とした実験が主で、心理臨床的なものというと、人間に対する知能検査や人格検査といった心理テストの実施程度であったが、生の人間を相手とした心理療法をやりたい筆者たちの悲願が実ったわけである。しかし、相手は実験動物や品物ではなく、れっきとした生きている人間であるし、あくまで人間性尊重を主旨としなければならない。そこで目をつけたのがC.R.Rogersの提唱する「クライエント(来談者)中心的療法」でありこれが以後のモチーフとなった。しかし楽な道ではない。相談室での研修以外に、色々な研修会にも積極的に出向く。
特に、日立市大甕(オオミカ)の茨城キリスト教学園での夏期研修で、カウンセリング研究所の遠藤勉先生の行うカウンセリング場面での筆者には奇跡とも見えるクライエントの立ち直りを拝見しこれが筆者の大きな栄養となる。(注1)
更に、そこで偶然出会った山松質文先生とは後年に音楽療法の旅を共に歩むこととなる。他方、それと平行して筆者は、音楽大での教育活動の合間に、病院・診療所(主に小児科系)・教育相談所等で臨床体験を重ね、多くの事例を上記のクライエント中心的療法を土台としながら対処してきた・・・。しかし、その立場で取り組む筆者にとって、自己の世界を大きく変革せざるを得ないようなクライエントとの出会いに遭遇する。
注1
遠藤勉:茨城キリスト教学園 カウンセリング研究所 カウンセラー
著書:遠藤勉、ローガン・J・フォックス(茨城キリスト教短大総長)共著「カウンセリングと問題の少年」1958 岩崎書店 |
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※次回は、「第1回:前半の4年:戸惑いと模索の旅」です。 |
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